逆境的小児体験(Adverse Childhood Experience:ACE)とは
逆境的小児体験(ACE)とは、18歳未満の時期に経験する、心身に強いストレスを与える出来事を指します。
具体的には、虐待やネグレクト、家庭内暴力、親の精神疾患や依存の問題、貧困、両親の離婚などが含まれます。
こうした体験は、子どもの心と身体の発達に影響を及ぼし、成人後の健康問題や問題行動、依存症のリスクと関連することが、国内外の研究で指摘されています。

栃木DARC内で行ったアンケート調査(n=53名)では、約半数の方が複数の逆境的小児体験を有していることが明らかになりました。
また、ACEの得点が高いグループでは、
- 感情のコントロールの難しさ
- 怒りを反すうしやすい傾向
- 発達性トラウマの影響
といった点において、ACEが少ないグループと数字の上で意味のある違いが示されました。

「もう大丈夫」と思っていても残る影響
逆境体験は、本人にとって「もう乗り越えた」「今は問題ない」と感じられている場合でも、心の傷として無意識のレベルに残り、現在の感情や行動に影響している可能性があります。
特に今回行ったアンケート調査では、市販薬や処方薬に問題を抱える方々に、逆境体験を複数経験している割合が高いという結果が示されました。
これは、辛さや心の痛みを和らげるための「自己治療」として物質を使用している可能性を示唆しています。
依存症の回復に対するACEの影響
これらの結果から、依存症の問題を「使用行動」だけで捉えるのではなく、
- 幼少期の逆境体験
- 発達性トラウマ
- 感情調整の困難さ
といった背景にも目を向け、依存症と心の傷に対するケアを並行して行うことの重要性が明らかになりました。
依存症からの回復を支えるためには、トラウマ・インフォームド・ケアの視点を取り入れた支援が欠かせないことが、今回の結果から示されています。
利用者のニーズに対応した支援を行っていくために栃木DARCでは、今回得られた結果を、今後の回復支援に活かして参りたいと思います。
※補足:発達性トラウマとは
幼少期に繰り返し経験する心的外傷(トラウマ)によって、情緒や対人関係、自己認識など、心身の発達全体に長期的な影響が及ぶ状態を指します。
